“身体と心の健康”を目指したランジェリーブランド立上げのきっかけ
ランジェリーブランドを立ちあげられて約3年半とのことですが、もともとランジェリーにこだわりがおありだったのでしょうか。
― いいえ。実は昔も今もランジェリーにそれほどこだわりがある訳ではなくて。10~20代にかけて精神的な疾患で外出もできない状態が続き、その経験から食べるもの、肌に直接触れるものをできるだけ身体に負担が無いものにしていました。そして、TVで締め付けが無い健康下着、いわゆる“ふんどしパンツ”が睡眠の質向上に役立つという事で取り上げられていて、ふんどしパンツを身につけるようになって。そうしたら、とても良かったんです。
ご自身のご病気がきっかけで、ふんどしパンツに興味をもたれ、ランジェリーのブランド立上げにつながったという事ですね。また、なぜ(食品や他のものでなく)ランジェリーだったのでしょうか。
― もともとハンドメイドでデザインが好きなふんどしパンツがあり、そちらを購入していて、その作者の方のブログを見ていました。そうする中で、自分でも作ってみたいと思いました。自分の中での旬を逃さないように、やりたい事はやりたい!と思ったのがブランド立上げのきっかけです。やりたいと思ってから、当時勤めていた会社を辞め、裁縫等も学んだことが無かったのですが、とりあえずミシンを購入しました(笑)。
まずは、行動。その先にあったもの。
素晴らしい行動力ですね!ハンドメイドスキルはどこかで学ばれたのでしょうか。
― 最初は見よう見まねでした。お店で販売されている商品を分解して構造を研究したり、かつて勤めていた職場仲間や仲の良いお客様の中に服飾専門学校出身の方がいたので、その方たちに教わったりしました。その後、ランジェリーの縫製を教えてくれる学校に通い、技術を磨きました。
ご自身でランジェリーを制作し、「これなら販売できる。」と思ったきっかけはございますか。
― 完璧な状態を目指すというより、できたら販売する、という風にしてトライ&エラーを重ねていきました。自分で作ったものを販売することに憧れもありました。最初は、作った商品をプレゼントして、フィードバックをもらい、商品作りに取り入れていくというスタイルで。まずはショーツから。自分で穿いてみてOKであればインスタグラムやハンドメイドの販売サイトで販売していきました。
ハンドメイドランジェリーを始められる前と後とで、ご自身の心境に変化はありましたか。
― まず、作ることにハマってしまったというのが大きいですね。ミシンも最初は勢いで購入してしまいましたが、今は楽しい遊び道具のような感覚で。そして、作れるものが増えていくことが嬉しいですし、私の作ったショーツを買ってもらって、感想をもらえるのが嬉しくモチベーションになりました。もちろんお客様の感想は、今となっても嬉しいですし、モチベーションになり続けています。
ご自身で事業を立ち上げられ、良かったことや大変だったことはございますか。
― 最初はそれこそ市販品を見よう見まねで作るところから始めたので、自分のオリジナルを作成することに高いハードルを感じていました。夜うなされる事もあるくらいで(笑)。
また、もっとクオリティを上げたいという悩みもありました。なので、本格的に学校に通い改めて知識を習得しようと考えました。Nu Lingerieというフランスでランジェリー制作を学ばれた方の主催する学校に興味を持ち、当時は無かった短期コースができないか、と直談判しコースを開講してもらいました。そこで基礎と縫製パターンを学び直し、ようやく自分の作りたかったオリジナルを作ることができました。また、ショーツだけでなく、ブラジャーを作れるようになりました。
そして、一人でやっているのでキャパシティーオーバーも大きな問題ですね。Nu Lingerieの学校に通っていた当時は、学校の復習と委託販売、Webショップの販売、イベントが重なって本当に大変で(笑)。ですが、その経験があるから今があるのかなと思います。
Elliy&Jの美しいランジェリーへのこだわり
素材という話がありましたが、素材選びのこだわりや、デザインモチーフはありますか?
― できるだけ肌に直接触れる部分は、天然素材を使用することを心がけています。コットン、シルク、レーヨンも入れていますね。デザインモチーフについては特に決めていなくて、自分のときめく素材を探すのが先です。新作をどんどん作っていくので、まずは「これがいい!」を想った素材を決めて入手し、そこからモノ作りに落とし込むといったやり方をしています。
始めにコンセプトを作られるブランドが多い中、まずは素材に重きを置いて作り上げていくというやり方は新しいですね。
― そうですね。そうすると、本当にハイペースで新作ができるんですよね。コンセプトを決めてからやるとある程度商品数が限られてしまうと思います。私のブランドのお客様は新作がどんどん出るのを楽しみにしていらっしゃる方も多いため、妥協のない素材選びで新作を出し続けてお客様に喜んでもらえたらと感じています。昨年は1か月に1度新作を出すようにしていて、1回で4~5種類の新作を作っていました。そうしたら、お客様の反応がすごく良かったんですよね。そして、私自身も飽きなくていいな、と思えて。
HPを拝見し、「人間本来の力を呼び覚ますランジェリー」とありましたが、具体的にどういう意味合いなのでしょうか。
― 締め付けから解放することで、身体の巡りが良くなったり、リラックスした着け心地で体を緩めることで、自分の感情を豊かにし、ありのままでいられるようなランジェリーという意味です。私自身が締め付けないランジェリーに変えて、身体も楽になり、体重も自然に落ちていった経験があり、そこからも鼠径部や他の部分の締め付けが無いことで体の巡りが改善されることを実感しました。
髙橋さんから見て、お客様はElliy&Jのランジェリーのどんな所を気に入って購入されていると思いますか。
― 実際にお客様から伺ったのは、「おしゃれな下着は毎日つけられない。」というご感想でした。リラックスできる健康下着でおしゃれなものがあまりなく、ブラジャーとショーツのセットで購入できるものが無い為、そういった点が気に入って頂けているところだと思います。先にお話ししたようなふんどしパンツの要素を取り入れ、締め付けない事にこだわったリラックスかつおしゃれなランジェリーを目指しています。
また、総レースのデザインであっても、レースが直接肌に触れないようにすることも大切にしています。レースの透け感はもちろん素敵なのですが、ヒップの部分には裏地があった方が安心感がありますし、肌への負担軽減にもなるかと思うので、こだわっているポイントです。
今後の展望はありますか?
― 一人で同じデザインを作り続けていると飽きが出てきてしまうので、自分のときめく素材を使って一点もののランジェリーを作ってみたいという想いが強いです。お客様自身に組み合わせを決めていただくことも考えたのですが、迷いすぎて決められないという事があったので、まずは私が作ったものを提供して、いずれはお客様の声を聞いて作りたいとも考えています。また、お客様のイメージを私が取り入れ、お客様のご希望も取り入れながらデザインに込めて、お守りになるようなランジェリーをやってみたいとも思います。初心者の方も参加できるようなランジェリーワークショップもやってみたいですね。みんなでワイワイできる場があったら楽しいな、とも思っています。
素材や肌当たりへの強いこだわりを持ちながらも、デザインにも妥協しない。そんなElliy&Jのランジェリーは”自分の旬を逃さない“よう行動を起こしながら柔軟に進む髙橋さんだからこそ生み出せるハンドメイドランジェリーなのだ。女性がより健康に美しく過ごせるエッセンスがElliy&Jのランジェリーには詰まっている。